本條流家元
本條秀太郎
三味線演奏家・作曲家
「本條氏の演奏を聴いていると彼が一流の演奏家であるのみならず、独特な思想家であることに気づく。私の記憶にある過去の三味線奏者たちは皆、甘い音を奏で、それぞれの音に巨匠独特の光を与えていた。しかし本條氏はこういった伝統という名の重い石に縛られていない。それでいてその意志をしっかりと伝え、そのうえに彼独特の味を 出している。芸術家の彼は、まるでロードス島の巨像のように、過去と未来の三味線音楽の上に股がってたっている。」
(1990年 ファビオン・バワーズ評)
茨城県出身。三味線を篠塚みつ師に、長唄を稀音家芳枝師に、民謡を二代目大船繁三郎師、藤本琇丈師の両師に、小唄は田毎てる三師に師事。以後修学に勤め、1971年に本條流を創流。
流儀曲として三弦の持つ表現の自由闊達さに回帰し、時代時代に歌われてきた “小さなうた達”の断片をも復元再生し、自然発生的に歌い継がれてきた “うた”(自然民謡)、普遍的、民族的な躍動感や旋律をモティーフに、現代に伝統音楽として生まれた楽派「俚奏楽」を発表。
古典の枠に留まらず、様々なジャンルの音楽、奏者と共演し、数多くの国内外公演を行っている。26回を数える「本條秀太郎の会」を主催し、三味線音楽の興隆に力を尽くし、民謡・民俗芸能の発掘、採譜等、幅広い音楽活動を続けている。また、多年に渡り350曲におよぶ「端唄」を収集。1993年第1回「端唄~江戸を聞く~廓八景」(TOKYO FMホール) を皮切りに、全曲を唄う演奏会に取り組んでいる。また、新作端唄を多数作曲、演奏発表している。
2006年に淡交社より「本條秀太郎三味線語り」を出版。
2008・2009・2010・2013年、演劇界の鬼才 サイモン・マクバーニー演出「春琴」に出演・音楽担当。
2006・2007年 人形邦楽館「北越誌」、2009・2019年 邦楽ドラマ「松廼家おけい」-山本周五郎作『虚空遍歴』より(紀尾井小ホール)に出演、音楽担当。
日本音楽著作権協会正会員、日本民族音楽会会員、現代邦楽作曲家連盟会員、桐朋学園芸術短期大学特別招聘教授歴任、いばらき大使、水郷いたこ大使、日本民族歌謡継承発展協会代表、日本民謡協会名誉教授
1983年 第4回松尾芸能賞「民俗音楽優秀賞」受賞
1986年 文化庁芸術祭音楽部門「芸術祭賞」受賞
1991年 文化庁芸術祭音楽部門「芸術祭賞」受賞
2004年 第54回文化庁芸術選奨文部科学大臣賞受賞
2007年 紫綬褒章受章
2007年 (財) 日本民謡協会「民謡名人位」受賞
2016年 平成28年度 茨城県表彰 「特別功労賞」 受賞
2023年 第74回 日本放送協会「放送文化賞」受賞
J-Tradとして現代に生きる音楽「現代民族歌謡」を作り、発表している。邦楽器を使った現代音楽の作曲活動・民族音楽とのコラボレーションを積極的に行い、「散華」「海照」「化転」「三弦」「回 帰」「額田」、他に端唄・俚奏楽・日本のこもりうた・鄙哥のCD等を発表している。